宮島 厳島神社・境外摂社「三翁神社」
創建年
- 不明
- 推定:1175年(承安5年)から1177年(安元3年)※平安時代末期
再建年
- 1591年(天正19年)※安土桃山時代
建築様式(造り)
- 見世棚造
- 切妻造
- 平入
屋根の造り
- 檜皮葺
御祭神
- 左殿:大己貴命・猿田彦命
- 中央殿 佐伯鞍職・所翁・岩木翁・安徳天皇・二位尼・大綿津見命
- 右殿:御子内侍・竹林内侍・徳寿内侍
発願者
- 平清盛
社格
- 厳島神社・境外摂社
「三翁神社」の読み方
「三翁神社」は「さんのうじんじゃ」と読みます。
「三翁神社」の別名と名前の由来
明治時代までは「山王社(さんのうしゃ)」もしくは「山王神社(さんのうじんじゃ)」と書かれていたようです。
その「山王」の名前の由来とは、「大山咋神(おおやまくいのかみ)」・「大物主神(おおものぬしのかみ)」の2柱の神を奉祀することとされるが、「三翁」の名前に由来ついては判然とせず。
推考するに当社には素敵に社殿が3棟あることから、これが由来になっているとも、これまた素敵に思え〜る。
宮島・三翁神社の歴史
厳島神社の社伝では、三翁神社の創建は平安時代後期と伝わっているようですが正式な創建年は判明していません。
発願者は平清盛であり、近江(滋賀県)の日吉大社から「山王神(さんのうのかみ)」を勧請して創建に至っています。
「山王神」とは「山王信仰」から生み出された神であり、「大山咋神(おおやまくいのかみ)」・「大物主神(おおものぬしのかみ)」の2柱の神を指します。
「山王信仰」とは「日吉大社(ひよしたいしゃ)」で生まれた信仰であり、日吉大社とは比叡山延暦寺(天台宗)が「比叡山の山神」を守護神と崇めるために鎮守とした社です。
そしてその「比叡山の山神」こそが上記の2柱の神「大山咋神」・「大物主神」のことを指します。
日吉大社は日本全国の「山王・日吉・日枝」の名前を持った神社の総本社となり、現在、これらの神社は日本全国に3000社近くもあります。
また、三翁神社(山王社)の創建当初は現在のような規模の社殿の姿ではなく、もう少し小さい社殿だったようです。
現在、三翁神社の拝殿の奥には本殿が3つ連なる形で造営されていますが、これは時代を経る過程で宮島中の祭神が合祀され、現在のような殿舎が3つ並び立つ形式になっています。
その上、よく見ると本殿の大きさが微妙に1つずつ異なります。
このように御祭神を覆屋(おおいや)風の殿舎でお祀りする様式は、厳島神社の本殿や客神社(まろうどじんじゃ)本殿内の玉殿とまったく同じ様式となり、厳島神社との関連性を強く示唆するものです。
尚、三翁神社が厳島神社の「摂社」へと指定されたのは、近代に差し掛かってからのことで、1878年(明治11年)に指定されています。
三翁神社の御朱印の種類・初穂料(値段)
三翁神社には残念ながら御朱印はありません。付近では厳島神社はじめ、千畳閣、大願寺、大聖院などで授与されています。宮島の御朱印に関しては以下のページをご覧ください。
関連記事:【期間限定はあるのか?】広島県 宮島・厳島神社の御朱印の種類・値段・混雑状況(待ち時間・並ぶ人数)」
関連記事:宮島・千畳閣(豊国神社)の歴史・御朱印・見どころ(特徴・建築様式)など
三翁神社の建築様式(造り)・特徴
見世棚造り
三翁神社の本殿の前には「拝殿」と「鳥居」があり、本殿が見えにくくなっていますが「見世棚造」と言う日本中でも数社しか現存しない大変、稀有な造りをしています。
見世棚造の大きな特徴の1つとして、社殿前方の向拝(こうはい)の足元に「床板」を配し、床板の足元は「井桁(いげた)状」に木材を組んで上部となる床板を支えるような造りをしています。
「井桁」とは、木柱を「井」の形に組んで積み上げて行く造りのことで、類似した建築様式として「井楼造(せいろうづくり)」が挙げられます。
また、三翁神社の社殿は一見すると社殿の「殿の部分(母屋部分)」から屋根が延長された「流造り(ながれづくり)」にも見えることから「流見世棚造」とも呼称されます。
見世棚造は平安時代の古文書などの文献にも登場していることから平安時代以前から用いられた建築様式であることが伺えます。
しかし現存しているほとんどの見世棚造を持つ社殿は、鎌倉時代から江戸期の建築がほとんどだと云われています。
境内入口の鳥居
三翁神社の境内入口に立つ鳥居は青銅製の少し年季の入った鳥居です。この鳥居は大阪の細工職人・錺屋吉兵衛(かざりやきちべえ)が造立した鳥居です。
⬆️よく見るとパーツ分けされて接ぎ当てられている様子がうかがえる。
宮島・三翁神社の御祭神
三翁神社の祭神である「大綿津見命」は「おおわたつみのみこと(かみ)」と読み、海上交通安全・海上災難消除と言った海に関してのご利益を持つ神様です。
「大己貴命(おおなむちのみこと)」は出雲大社に鎮座される縁結びの大神「大国主大神」のことであり、山王信仰における「山王神の1柱」でもあります。
三翁神社の例祭・「三翁神社祭」
三翁神社でも例年、例祭が執り行われており境内では「舞楽」が奉奏されます。
- 開催日程:例年10月23日
- 開催時間:10時~
- 参拝料金:無料(見学自由)
三翁神社の場所(地図)
三翁神社は厳島神社の社務所の向かい側に位置します。宮島消防署の手前に位置し「宮島ロープウェーのりば」の看板の前です。
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