宮島🦌厳島神社「多宝塔」【重要文化財】

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宮島・厳島神社「多宝塔」【重要文化財】

創建年

  • 1523年(大永3年/室町時代後期)
再建年

  • 1704年から1710年(宝永年間/江戸時代中期)※改修
  • 令和5年2月〜令和7年9月(予定)※改修
建築様式(造り)

  • 二重塔婆(宝塔)
屋根の造り

  • 杮葺(こけらぶき)
大きさ

  • 塔高:15.6m
  • 横幅:三間(約6m)
重要文化財指定年月日

  • 1901年(明治34年)8月2日
発願者

  • 周歓(僧侶)

多宝塔の読み方

多宝塔は「たほうとう」と読みます。

多宝塔の別名

地元宮島では「二重の塔」とも呼ばれています。




宮島・厳島神社「多宝塔」の歴史・由来

厳島神社の多宝塔は、1523年(大永3年/室町時代後期)に僧侶の「周歓(しゅうかん)」が創建したと伝えられています。

もとは五重塔と同じく大聖院の伽藍を構成する多宝塔でしたが、明治初頭の神仏分離令によって厳島神社の管理下へ移管されています。

現在までの記録では再建の目ぼしき記録はなく、唯一、伝わるもので江戸時代中頃の1704年から1710年(宝永年間)に修繕(改修)の記録が残っています。

宮島・厳島神社「多宝塔」の建築様式と特徴

このような多宝塔は特に真言宗の寺院の境内で見られる特徴的な仏塔であり、2層(2重)になっているのが特徴です。ただし、下部の屋根は裳階(もこし)屋根と捉えて、層に含めずに1層(1重)という見方もされています。

軒反り

厳島神社の多宝塔の四隅の屋根の形状を一目すれば、反り上がっていることに気づきます。

これは「軒反り(のきぞり)」といって、付近に位置する千畳閣(豊国神社)の五重塔の屋根にも見られる特徴です。

このような軒反りは、一概にすべてに当てハマる訳ではありませんが、時代を経るごとにその角度が90度に近づいていきます。

多宝塔・軒反り厳島神社の多宝塔の屋根の軒反りを見る限りでは、少し角度が付いているのが分かりますので室町時代の後期から江戸時代にかけての反りの特色がよく出ています。

軒反りで有名な寺院と言えば、奈良法隆寺の近藤くんや、あぁイヤイヤ金堂」!南大門があります。

見た目はそれほど分かりませんが、厳島神社の多宝塔の方が軒先の反りの角度が若干、急になっていることに気づきます。

厳島神社・多宝塔の建築様式の特徴「和様」「禅宗様」

その他、五重塔と同様に「和様」と「禅宗様」が混在した建築様式をしています。

禅宗様である証拠

建物を支える「貫(ぬき)」先の部分(鼻)の形状が「拳鼻(こぶしばな=渦模様)」なっていることにも気づきます。これは禅宗様(大仏様)の大きな特徴の1つです。

和様である証拠

屋根の裏の垂木は五重塔と同様に「二軒繁垂木(ふたのきしげだるき)」で平行に並んで組まれており、これは和様建築の大きな特徴の1つです。

また、初層の壁面の組物である「間斗束(けんとづか」や「蟇股(かえるまた)」には和様風の様式が見受けられます。

2層目の「亀腹」

2層目には丸くフっくらとした純白の亀腹が据えられています。よく晴れた日には太陽の光が反射して思わず目をつむってしまいそうなほどです。

多宝塔の構造と組物

上層部(2層目)は「四手先の組物」であり、これは二重多宝塔でよく見られる特徴です。

ただ、”組物”と言葉では簡単に言えるのの、実際このような円形の建物に組物を用いるのは容易ではなく、特に組物の根幹部分となる「肘木/ひじき」や「斗/ます」の部材を円形に沿わせるためには、形状を通例の四角形から平行四辺形へと変形させて制作する必要があります。

平行四辺形に変形させる理由は円形の塔身に対して、方形の屋根を支える格好になりますので、放射状に部材を取り付ける必要があるからです。

組物は12本の柱の延長上に取り付けられていますが、多宝塔はこの12本の柱を基礎として建てられているといっても過言ではありません。

多宝塔を離れた位置から見れば朱色の綺麗な仏塔に見えますが、望遠鏡のようなもので見てみると用材の表面がかなり痛んでいるのが視認できます。これは500年もの間、海風にさらされてきた証拠を物語ります。

蟇股から見る時代の変遷

宮島中に存在した寺社は明治初頭に行われた神仏分離令によって、ことごとく破壊されたり、仏像は寺院へ移されるなどしています。

その痕跡が宮島に存在する寺社の建物において垣間見ることができます。

例えばこの多宝塔の蟇股(かえるまた)に着目してみると、密教で仏を示す梵字(ぼんじ)や草木の透し彫りが見受けられます。

しかし、梵字の部分だけが綺麗に色が残っていますが、これは神仏分離令によって梵字の部分が削り取られたために後々で忠実に復原(ふくげん)されたからです。

宮島島内にはこのような神仏分離令による影響が垣間見える寺社が多数、現存しています。まさに宮島の大きな見どころの1つといえます。




宮島・厳島神社「多宝塔」の御本尊

厳島神社の多宝塔にも五重塔と同様に、かつて仏像が安置されておりました。

その仏像と言うのが「薬師如来像」であり、現在は同じ宮島の島内に位置する宮島・大願寺に遷されています。

明治時代には一時的に豊臣秀吉子飼いの武将「加藤清正」を祀り、「宝山神社(ほうざんじんじゃ)」と称していた時期もあったようですが、時代を経る過程で付近の豊国神社(千畳閣)へ遷されています。よって現在は何も祭祀されていません。ただ、多宝塔があるのみです。

尚、これら五重塔や多宝塔にかつて安置されていた仏像は、現在ではすべて国の重要文化財に指定されています。

厳島神社へ参拝に来られたら是非、大願寺へも訪れてみてください。ウフ

厳島神社・多宝塔の場所・アクセス(行き方)

厳島神社・多宝塔は厳島神社を陸側から見て左手の方角に位置します。具体的には、宝物館裏の小山を登った山頂にあります。

行き方としては、大元公園から大聖院へと至る「あせび歩道」という約700mの山道を進んでいく形になります。その途中に多宝塔があります。

厳島神社の出口となる西回廊から行く場合は、出口から見える厳島神社の宝物館を向かい見て、右脇に階段があります。厳密には宝物館の右脇に山根商店という土産物屋さんがあり、この山根商店の右脇の階段を約3分、上がった先に多宝塔があります。

厳島神社(西回廊/出口)から多宝塔までの所要時間・距離

  • 所要時間:4分
  • 距離:400m

多宝塔から「あせび歩道」を通行して徒歩約10分で大聖院の境内へ入ることができますので、ぜひ!大聖院へも立ち寄ってみてください。

多宝塔へ行く時は望遠鏡を忘れずに!

多宝塔からは、厳島神社やその周りの風景が一望できます。多宝塔や五重塔へ行かれる際は、望遠鏡やカメラを忘れずに持参してください。

きっと、アルバムに綴れるような美しい写真が撮れます。ウフ

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