広島県宮島🦌厳島神社が世界遺産に登録された本当の理由

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瀬戸内海に浮かぶ宮島。

「鹿」や「もみじまんじゅう」で有名ですが、なんといってもそのシンボルは世界文化遺産でもある厳島神社です。

この神社は「満潮時には海に浮かぶ」という画期的な構想のもと、593年(推古天皇元年)に創建されており、1168年(仁安3年)に平清盛が行った大造営の時に現在見ることができる社殿の原型が造営されています。

それから約800年後の1996年(平成8年)にメキシコで開かれた第20回ユネスコ世界遺産委員会で、同じく広島県にある「原爆ドーム」とともに世界文化遺産に登録されました。

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広島県・宮島の厳島神社が世界文化遺産に登録された6つの理由とは?

世界遺産に登録されるにはユネスコが定めている登録基準というものがあり、6つの項目中4つを満たさなければなりません。

その基準とは、以下のようなことになります。

 [人類の創造的傑作]創造的な才能を表す傑作

 [価値観の交流]建築や芸術、都市の構成や景観の発展において、ある時代や地域における人類の文化的価値観の交流の形跡を示すもの

 [文化的伝統、文明の伝承]ある文化的な伝統や文明の貴重な証拠となるもの

 [伝統的集落、環境とのふれあい]歴史上の有意義な時代を示す優れた建造物や建築物群、景観の例となるもの

 [建築様式、建築技術、科学技術の発展段階]ある文化を代表する伝統的集落や土地利用の典型的な例で、消滅の危機にあるもの

 [出来事、伝統、宗教、芸術的作品、文学的作品との関連]世界的に著名な事件・伝統・思想・信仰・芸術作品・文学作品と密接に関係するもの

厳島神社はこのうち    」を満たしています。




厳島神社が世界遺産に登録された4つの基準をさらに解説

上記では、厳島神社が世界遺産に登録された4つの基準を解説しました。

以下では、さらに具体的に厳島神社が世界遺産の基準をどのように満たしたのか?・・についてお話ししたいと思います。

人類の創造的傑作

厳島神社は1168年(仁安3年)に、当時の日本の事実上の支配者であった平氏の棟梁「平清盛(たいらのきよもり)」の造営によって現在みられる美しい社殿群の基本が形成されました。

この社殿群の構成は、平安時代の「寝殿造り」の様式を取り入れており、また、海上に立地して、背景の「弥山(みせん)」と一体となった景観は比べるものがないほど美しいと言えます。

これは、平清盛の卓越した発想によるものであり、平安時代の代表的な建築的資産の1つです。

価値観の交流

厳島神社の社殿は、御祭神以外にも別名「斎く島(厳島)」と呼称される「宮島」という「島」を祀っています。

島は、神が創造した物の1つでもあり、大いなる「大自然」の1つであります。

そして社殿は「弥山(みせん)」の麓(ふもと)の海上(水上)に造った日本における社寺建築の発展の礎(いしずえ)ともなっています。

また社殿群の景観は、その後の日本人の美の基準の1つとなっており、唯一無二の建造物と言えます。

以上のことから、厳島神社は日本の精神文化を理解する上での重要な資産となっています。

伝統的集落、環境とのふれあい

神宮(伊勢)の「神明造り」や出雲大社の「大社造り」を祖とし、仏教文化の伝来によって日本の社寺建築は時代を経るごとに大きく変貌をとげて行くことになります。

そういった時代の流れの中でも、厳島神社の社殿は平安時代で時間が止まっており、つまりは平安期の神仏習合の文化をよく投影していると言えます。

本殿は「流造り」を主として、「殿(母屋)」から伸びる「庇(ひさし)」が前後の「平側」に備え付けられている「両流れ造り」を基本として、社殿全般においては「千木や置千木」及び「鰹木(かつおぎ)」と言った神社建築の特徴もなく、これは「京都・伏見稲荷大社」を彷彿とさせる「流造り」の典型です。

そして上述したように、創建以降の度重なる再建、及び修造にもかかわらず、平安の創建時の様式を留めている数少ない貴重な建造物です。

まさに文字通り「日本が世界に誇る世界的遺産」と言えます。

また神社建築と言われる部類の中においては、海上(水上)に社殿が造営されている稀有なケースであり、ユニークと言うかド肝を抜かれるようなアイディアのもとに建造されています。

世界遺産の評定は当該・建造物とその周囲の自然との共存と言う観点からも評価がなされます。

自然との共存と言う観点から見た場合、厳島神社は海上(水上)に造営されており、社殿の背後には「弥山」と言う「山」が位置し、海・山の境界に造営されています。

つまり、自然との共存と言う点においては見事にこの基準を満たしており、さらに造営の設計が実にユニークと言った点も高く評価されています。

出来事、伝統、宗教、芸術的作品、文学的作品との関連

日本大陸に仏教が到来し、厳島神社でも寺院形式の祭典が催されていた歴史があります。

しかし、神仏習合が成ったとはいえ、厳島神社はあくまでも宗教と言う概念に囚われない「神道(しんとう)」の施設であります。

つまり、厳島神社に伝わる歴史を振り返ることで、古代日本の神道・仏教などの歴史の起源をたどることができます。

以上のことから日本における文化的資産として、日本の宗教の特質を解明する上では重要な根拠となります。

終わりに・・

ここまででお話しした説明の内容によって厳島神社は世界文化遺産に認定されています。

厳島神社は世界的に見ても、様々な面で大きな価値がある遺産だということが証明されたわけです。

厳島神社は、首都圏からは遠く離れた島内に位置しておりますが、多くの外国観光客が絶え間なく、この宮島・厳島神社へ訪れます。

人々が、厳島神社へ誘われる理由の1つとして、言葉では表現できない「心のトキメキ」と言ったような「理解しがたい感情」が沸き起こり、はるばるこの宮島まで人々を誘わせると思われます。

厳島神社が世界遺産に登録されているから人々が訪れるのではなく、もはや世界遺産と言う枠を超越した神がかり的な魅力がこの厳島神社にあるからに他なりません。

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