宮島・「弥山展望台休憩所」
竣工年(再建年)
- 2013年(平成25年)11月
建築様式(造り)
- 鉄骨2階建て
- 1階一部木造
材質
- ヒノキ
- 杉
設計
- 広島県土木局営繕課
施工
- 増岡組
デザイン
- 三分一博志建築設計事務所
発願者
- 広島県
宮島・弥山には展望台が2つあります。
1つは「獅子岩駅の展望台」と、そしてもう1つが「弥山の展望台」になります。
弥山の展望台は標高535mの弥山の頂に建つ展望台です。
現在の展望台は以前の展望台の老朽化に伴い、2013年の1月から約11ヶ月もの工期を経て2013年(平成25年)11月29日に新築リニューアルオープンしています。
木材には広島産のヒノキや杉を使用して弥山の景観に溶け込むような様式をとっています。
項・一覧
弥山展望台休憩所の内部構成
弥山展望台休憩所は1階から3階まであります。常駐されている管理人がいますので、体調不良などがあれば申し出てみてください。
1階
トイレ
男女別のトイレがあります。ボットん式ではなく綺麗なスッキリ爽快!水洗式です!
売店
前身の弥山展望台には1階に売店がありましたが、現在ありません。
自販機
自販機もありませんので、飲料を持参する必要があります。まぁ最悪、便所の手洗水を飲めがね。オホ
弥山展望台案内所
弥山展望台にはなんと!観光案内所が併設されています。
内部はそれほど広くはありませんが、カウンターがあって色々と相談できたり、弥山や宮島・広島の情報を掲載していたり、パンフレットのようなものも配布しています。
この案内所はどちらかと言うと単なる観光案内所の趣旨はなく、弥山への登山者向けの案内所のように感じられます。
内部に入れば分かりますが、弥山登山道ガイドや弥山登山ワンポイントガイドなどの情報が多数、掲載されています。
また、受付の方も登山が好きな方なのか、登山の知識を有する方です。会話をしていて節々に登山愛好者であることが肌身を通して伝わってきます。ムフぅん♥
2階
広々とした板が柱を中心に張られており、のびのびと休憩ができる座席が空間の中心になっています。
板が一面に張られていることから横幅と奥行きがあるので、周囲に人がいなければ大の字で寝そべることもできるぐらいです。
それと2階の上は屋根になっていますが、屋根上がパノラマ展望台になっているので昇ることができます。
以前の弥山展望台の2階部分には金属製の高欄が設置されていましたが、現在の2階部分には鉄柵が張られ、景観がより見渡せやすくなっています。
嬉しいことにフリーWi-fiが使用できます。それと展望台は全面禁煙なのでご注意ください。
3階
2階の屋根上には上がることができます。すなわち3階になります。
3階は2階より面積は少し狭いですが、360度見渡させるパノラマ展望台になっていますので、宮島の周囲の景色を余すことなく観覧することができます。
弥山展望台休憩所から見える景色
ご存知でしたか?この弥山が日本三景の一角であることを。
日本三景一覧
- 松島(宮城県宮城郡松島町)
- 天橋立(京都府宮津市)
- 宮島(厳島神社)
初代内閣総理大臣の伊藤博文は、この弥山の山頂から眺める景色をこよなく愛し、「日本三景・宮島の真の価値とはこの弥山の山頂あり」と辞世の句とも言えるべき言葉を残しています。
ちなみにかつての弥山山頂に続く登山道は現在のような整備された登山道はなく、獣道に近いような登山道だったようです。
これを私財を投じて整備したのが伊藤博文です。本当に心から弥山を愛していたのでしょう。
北側から見える景色
弥山展望台の北側には「弥山の原始林」が一望できます。弥山は一時的にも時代の変遷の中で禁足地であった歴史もあり、太古からの景観がそのまま残っています。
厳島神社が世界遺産に指定されましたが、その背景には「弥山原生林」が広がり、その弥山原生林も含めた景観が世界遺産として登録されています。
すなわち弥山原生林も世界遺産指定を受けているエリアになります。ちなみにこのエリアは1996年(平成8年)に世界遺産登録されています。
現在では厳島神社付近に鹿が当たり前のようにいますが、かつて鹿たちはこの弥山に生息していたとされ、弥山の大いなる大自然が存在した証ともなる存在です。
西側から見える景色
東側から見える景色
南側から見える景色
弥山展望台の混雑具合
弥山展望台は秋口(紅葉シーズン)とGW(4月下旬〜5月上旬)、そして1月1日(元旦)が混雑します。1月1日は弥山山頂に初日の出を観るために多くの人がカメラを持って訪れます。
弥山展望台休憩所の建築様式(造り)
弥山展望台休憩所は、鉄筋2階建ての建物で1階部の壁面やトイレなどにヒノキを使用しています。
屋上は杉を使用して原生林が生い茂る宮島の景観に溶け込ませるような造りになっています。
2階部分は座席にヒノキが使用されていることもあり、湿気の多い日は心地よい木の香りが漂ってきて心を落ち着かせリラックスさせてくれます。
デザインは三分一博志氏によるもので、「座」をテーマにしたデザインになっています。
三分一氏がイメージする「座」とは縁側に腰掛けて、お茶を飲みながら庭園を見渡すといった風情が込められています。
休憩所にゆっくりと腰掛けて、宮島の景色と言う美しい庭園を見ながら飲むお茶は、きっと一味も二味も違った味がするハズです。
弥山展望台休憩所の営業時間・利用料金・定休日
- 開いてる時間:10時から16時まで(トイレのみ24時間利用可能)
- 利用料金(入館料金):無料
- 定休日:なし(年中無休)
弥山展望台休憩所へお越しの際は「ポケットグラス(望遠鏡)」をお忘れなく!
弥山展望台へ訪れる際の必需品としてポケットグラスを忘れずに持参ください!これを忘れると苦労して山頂まで来た意味合いが薄れます。
それと天気予報を事前に何度も確認して晴天の日に訪れるように心がけましょう!雨天の日や霧が多い日は遠くの景色が見えないので、満足度が半減します。
ゴミは持ち帰ろう!
弥山展望台の中にはゴミ箱がないので、各自でキッチリとゴミは責任をもって持ち帰りましょう!
施設内の階段部分や展望台デッキなどにゴミが無造作に棄てられている様子が散見されますが、これらは道徳・倫理的な面からみても避難を受けざる得ない行為です。
弥山は太古から存在する大自然です。自らの存在も大自然との共生で成り立っているという実感を抱き、必ず出したゴミは持ち帰りましょう!
【補足1】昔の弥山展望台休憩所
2015年に改築される前の弥山展望台休憩所の姿です。
昔の弥山展望台休憩所には1階に売店や自販機がありましたが、現在はありません。鉄錆が随所に散見されます。
かなり老朽化が進んでいる様子が写真を見て分かります。
以前の弥山展望台休憩所は厳島神社をモチーフとしているためか、2階と3階部分に鉄製の高欄を回し、2階部分には擬宝珠までを据えるという意匠が見えます。
【補足2】困難を極めた弥山展望台の建て替え工事
弥山展望台の位置を見れば分かるとおり、弥山の山頂に位置します。
したがって建築するための機材を運ぶのもそうですが、何より建築するための材料や資材の運搬が困難を極めます。
資材や材料はヘリコプターの機体に括りつけて、山頂で降ろすといった運搬方法でこれをひたすら往復して材料と資材を山頂まで運搬しています。
そしてクレーンなどの建築重機もなんと!ヘリコプターにくくりつけて運搬しています。
画像引用先:広島県庁
資材や材料は持ってくるだけではなく、以前の展望台の廃材も出てきますので、まさにヘリコプターをフル稼働させての大工事であったとことを物語ります。
弥山展望台休憩所の場所・行き方
弥山展望台休憩所へは、宮島ロープウェイ獅子岩駅から徒歩で約30分くらいで到着することができます。